「病院建設費の高騰(1)」

「近隣の病院工事の入札が不調!」

建替えを検討中の病院幹部との会話の一部である。

国公立の医療機関が発注する建設工事で、建設費高騰により入札者がいない事態が続いている。建設費が予定価格に収まらない要因として、資材の高騰、設備専門職の人手不足等が上げられている。一方、過去の工事請負金額が無理な赤字受注であったと指摘する建設関係者もいる。

この高コスト(建設サイドから見たら価格適正化)状態が落ち着くのは、消費税改訂前の駆け込み契約物件の完工後、或いは東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要が一段落する頃との見方がある。

将来予測はさておき、建替計画が一時停止・保留となった病院の中には、構造上の問題で待ったなしの病院もあり、医療機関側で出来ることは、金融機関に提出する事業計画の精査である。

大多数の民間医療機関にとって、工事金額を金融機関からの融資で調達するケースが大半であり、計画を上方修正する施策を院内で協議して、具現化に向けた策を練るしかない。

・患者数と単価を伸ばす可能性は?(入院・外来)

・職種別、部署別の配置見直しによる人件費抑制が可能か?

・材料費、委託費の削減は? etc

建設費の適正化に向け、(アメニティと安全は確保しつつ)華美すぎる設計・設備プランとなっている部分を見直すことが必要であるし、"現病床数の維持"という前提は適正か?という大きなテーマもある。

仮に現在の病床稼働率が著しく低く、回復の見込みがなければ、余剰病床への投資は適切ではなく、新しい施設で生み出すキャッシュフローの範囲内で返済可能な融資を受けることが健全経営の原則である。

診療報酬改定に伴う病床機能の見直しと共に病床数の議論が行われている医療機関も少なくない。本当に必要な病床数を確定するには、診療圏での自院と他院のポジショニング分析(平成26年度診療報酬改定を読む(11)~ポジショニング分析~)を行い、中長期計画で自院が進む方向性を見極めることが重要である。

病院コンサルティング事業部 川越

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 いよいよ新年度がスタートしました。

 今年度は、2025年モデルに向けた病床再編の初めの年であり、各病院の動向が注目されます。平成26年度診療報酬改定では、7対1入院基本料の厳格化や回復期リハビリテーション病棟入院基本料の厳格化、地域包括ケア病棟入院基本料の新設等、2025年モデルを見据えた内容が目立ちます。

 どの病院様でもまず眼の前の診療報酬改定に対して、どう対処していくべきかを協議されている所だと思います。

 しかし、弊社がご支援している病院様では、平成26年度診療報酬改定の更に先を見据えた長期的な診療機能のあり方について、既に協議を進めています。

 そして、前回のコラム(ポジショニング分析)でも触れましたが、長期的な診療機能のあり方の検討にあたって、地域における自院の位置付けを知ることが重要です。

 地域における位置付けを知る方法の1つとして、厚生労働省DPC評価分科会が一般に公表しているDPCデータを用いた分析が挙げられます。

 以下のグラフは、医療圏内で自院が急性期医療をどの程度担えるかを判断する目的で作成したものです。

 急性期医療の特徴として、平均在院日数が短いことや重症患者の比率が高いこと等が挙げられます。

 そこでグラフの作成にあたっては、X軸に平均在院日数を、Y軸に退院患者に占める手術あり患者の割合を取っています。また、各病院の退院患者数は円の大きさで表現しています。

(12)ブログ用_次郎丸.bmp 

 上記のMDC01(神経系疾患)のグラフのうち、A病院を例に挙げると、平均在院日数は医療圏の中でも短い方ですが、神経系疾患(脳梗塞等)のシェアが他院に奪われており、また手術割合が低いことから重症患者が少ないという状況が推測されます。

 つまり、A病院にとって神経系疾患は急性期を担える分野ではない可能性が高いと考えられます。7対1の一般病床ではなく、地域包括ケア病棟等にて診療を行う方が、急性期病床(7対1)の維持、病院全体としての病床稼働率の維持・向上に寄与すると判断されます。

 経営面への短期的な影響を考えると、確かに診療報酬改定に合わせた対応は重要ですが、病院の経営方針は、診療報酬改定のたびにブレるのではなく、一貫したものでありたいと思います。

 地域で医療を長期的に提供していく上では、2025年、そしてその先の計画(ビジョン)が求められています。

 将来を見越した自院のビジョン作り、それが今年度一番の大仕事になることは間違いないでしょう。

 

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

 

病院コンサルティング事業部 次郎丸

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 ポジショニング分析(一般病床を有する病院が対象)について

 平成26年度の診療報酬改定をどのように捉えるか、についてブログ掲載してきたが、ブログを通して伝えたいことの本質は、次の3つに集約される。

① H26診療報酬改定の背景にある政策を理解すること

② 政策を理解した上で自院がどの位置付けにあるかを把握すること

③ 位置付けを理解した上でどのポジションに身を置くかを早めに検討すること

 この3つに対する回答を出すためにも、医療機関には「ポジショニング分析」を是非実施してもらいたい。中規模の病院は尚更である。

ポジショニング分析のフレームワークを以下に記す。

スタッフブログ2.jpg

 ポジショニング分析にあたって重要なことは、急性期に対する地域の医療提供状況がどのようか、そして内部環境では、保有するソフト(体制等)で急性期対応がどこまで行えるかを判断することである。地域包括ケア病棟は、7対1病棟の条件から外れていく病棟(病床)の受け皿であり、これは確実に政策的に増えていく。加えて、病床機能報告制度・地域医療ビジョンの策定が始まれば、稼働していない病床をいつまでも持ち続けるということができなくなる可能性も高い。

 高齢化による医療・介護需要の変化は今後も進む。政策はそれに合わせていく必要があり、個別病院の状況に応じる余裕はないだろう。各医療機関は事業を継続するために、時が来るのを待つのではなく、時が来るまでに自ら変化していくことが求められる。

 また、「現状がこの状況だから当院は急性期の病床は持てない」など、ドラスティックな判断(極端すぎる判断)をする必要性はないと思う。地域の状況を見ながら、徐々に機能をシフトしていくことが望ましいケースもきっとあるだろう。

 現時点で最も重要なことは何か、それは「地域を俯瞰して自院がどのような状況にあるか」、「そこから見えてくるリスクは何か」を把握しておくことだ。そのリスクはすぐに対応しないといけないことか、今後徐々に変化していくことで回避できるものか、など考えていくことも必要だろう。

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。 

 病院コンサルティング事業部 森

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 今回の診療報酬改定において、DPC対象病院以外の病院におけるDPCデータの提出を評価する「データ提出加算」の対象範囲が拡大されました。  

 これまでデータ提出加算の届出は一般病棟(7対1、10対1)等の急性期病棟や精神病棟の一部に限定されていましたが、療養病棟を含む全病棟で届出ができるようになりました。

【データ提出加算】

データ提出加算1(入院診療のみ提出)

イ(200床以上)100点   ロ(200床未満)150点(入院中1回)

データ提出加算2(入院診療と外来診療を提出)

イ(200床以上)110点   ロ(200床未満)160点(入院中1回) 

[施設基準]

①診療録管理体制加算を届け出ていること。

②データを継続的かつ適切に提出するための体制が整備されていること。

  DPCデータの提出にあたっては、医療情報システムの変更や記載漏れ等をチェックするスタッフの配置等、手間と費用が掛かることから、データ提出加算の届出に向けたハードルは高いと思われます。

 しかし、データ提出加算の届出を行うことで得られるメリットは上記に記載した手間や費用を考慮しても余りあると考えています。1つ目に、(当然のことですが)データ提出加算の届出を行うことで、新たな収入が得られます。2つ目に、DPCデータの提出を通じて、自院の診療データを蓄積して行くことが可能です。

 DPCデータには診療の質の向上や経営改善のヒントとなる情報が詰まっています。これまではデータが不足していて原因の掘り下げを断念していた問題についても、DPCデータを分析することで、問題解決に向けた突破口が見つかるかもしれません。

 例えば、DPCデータを活用した医薬品の適正使用に向けた取組が挙げられます。DPC提出フォーマットのEFファイルには、1入院期間における医薬品の使用数量や実施日等のデータが患者別に記録されています。同一疾患の患者のデータを比較することで、医師ごとに医薬品の使用数量に差異がないかの検証が可能であり、診療の標準化やコスト管理に役立てることができます。 

 データ提出加算の届出にあたっては、採算性の視点だけでなく、データの二次活用といった視点も踏まえて検討されてはいかがでしょうか。 

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。 

病院コンサルティング事業部 次郎丸

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 過去の記事でも触れたように、「7対1入院基本料の要件の厳格化」は、今回の診療報酬改定において着目すべき点の1つである。具体的な変更点としては、「看護必要度基準の見直し」や「在宅復帰機能を持つ病棟及び介護施設へ退院する患者の割合設定」等が挙げられるが、中でも筆者が最も注視しているのは、「平均在院日数の算出基準の変更」である。

 2/12中医協総会で示された答申では、以下の変更内容が明記されている。

 ◎ 特定除外制度の見直し(※対象:7対1入院基本料及び10対1入院基本料算定施設)

入院期間が90日を超える患者を対象とし、下記二つの取扱いから病棟単位で選択する。

A.出来高算定とするが、平均在院日数の計算対象とする。

B.原則として療養病棟と同等の報酬体系とする。

 ◎ 短期滞在手術基本料3の見直し(※対象:全施設)

短期滞在手術基本料3に該当する手術、検査を入院5日目までに実施する患者については、全診療報酬を包括範囲とし、短期滞在手術基本料3を算定する。

A.短期滞在手術基本料3のみを算定した患者については平均在院日数の計算対象から除く。

B.なお、6日以降も入院している場合については、入院日から起算して平均在院日数の計算対象に含める。

※中医協総会第272回「個別改定項目について」より抜粋、要約の上記載。

 

 いずれも「A.現状の平均在院日数が長期化する(=医療機関によっては要件をクリアできなくなる)」、又は「B.平均在院日数を抑えれば、収益性が落ちる可能性がある」という選択肢から、各医療機関が選択をしなければならない、という解釈になる。

 経営的な視点で(=収入を維持することを)考えると、「A.の対応を取る中で平均在院日数の要件をクリアできる状況を作り出すこと」が望ましいと考えられる。そして、その状況を作り出すための対策は、各医療機関が抱えている問題(=長期入院の患者を受け入れざるをえない理由)により、様々である。例えば、退院調整や相談窓口は十分に機能しているか、或いは後方連携がしっかりと行われているか、といった視点で現状を把握し、対策を講じていく必要がある。また自院の入院患者の疾患構成はどうだろうか。一般的には、外科系疾患の患者よりも、内科系疾患(特に呼吸器疾患等)の患者の方が長期入院になりやすい。手術対象の外科系疾患患者を増加させることができるか、等も検討の余地があるだろう。

 そして、対応疾患の状況から「平均在院日数の要件をクリアすることが難しく、B.の対応を取らざるを得ない」場合、病棟の活用方法を見直すことも必要になってくるだろう。

 なぜなら、改定の本質は「医療機能の分化・明確化を一層進めていく」という部分にあるためだ。2016年度改定以降も、その本質に基づく施策(平均在院日数及びその他要件のさらなる厳格化等)が講じられる可能性は高い。各医療機関には、場当たり的な対応ではなく、将来的な制度設計を見据えた経営判断が求められている。

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 重枝

 

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 2/12の中医協総会(以下「総会」と記載。)において、平成26年度診療報酬改定の答申書が示された。

 これにより、平成26年度診療報酬の個別改定項目の点数も見えてきた。

 中医協の診療側委員らの意見を十分に含んだ消費税対応分のプラス改定は、医療機関にとって大きなプラスになるようだ。

 一方で、診療報酬算定基準の「適正化」による減収要因(7対1入院基本料、救急医療管理加算や外来化学療法加算など)も新たに出てきている。

 例えば、救急医療管理加算は、新たに「救急医療管理加算2」が設けられ、点数は従来の救急医療管理加算の半分(800→400点)になる。入院初日~7日間算定できるこの加算が減算される影響は大きい。年間1,000件が、「救急医療管理加算2」に該当するとなれば、この算定項目のみで年間4百万円の減収となる。

 減収の影響をどの程度受けそうか、減収の影響を最低限に抑えるために何ができるかは、新年度を迎える前に、試算・検討しておくことが望ましいだろう。

 これから、多くの医療施設において、診療報酬改定の影響額が試算されることであろう。診療報酬改定の影響を予測したときに、自院の今後の方向性に関して、いくつかの選択肢が出てくるかもしれない。

※  今後は、このブログにおいても、どの改定項目がどのような影響を与えそうかを検討し、示していきたいと思う。

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 森

 

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 2/5中医協総会(以下「総会」と記載。)では、公益裁定の結果を受けて「消費税率8%への引き上げ」に対する診療報酬上での対応が決定された。

 公益裁定の結論は、1/29の中医協総会において提示された案をほぼそのまま採用するというものに至ったようだ。

【決定された消費税増税への補填(医科)】

①基本診療料に関して

  • Ÿ     初診料・・・+12点 (病院・診療所ともに)
  • Ÿ     再診料・・・+3点 (病院・診療所ともに)
  • Ÿ     外来診療料・・・+3点 など

②個別項目に関して・・・点数未確定

  • Ÿ     外来リハビリテーション診療料
  • Ÿ     外来放射線照射診療料
  • Ÿ     在宅患者訪問診療料

 また、同日の総会では、1/29に提示された「個別改定項目について(短冊)」に関しての協議も行われたようだが、この短冊自体、小さな手直しが加えられた程度で、大きな追加・変更はまだ加えられていない。

 総会では、1/24公聴会での一般意見、平成26年度診療報酬改定の骨子に対するパブリックコメントなど、今回の診療報酬改定に対する世論の確認がなされているため、これらも踏まえ、今後、具体的な点数、算定条件を詰めていくことになりそうだ。

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 森

 

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先のブログでも地域包括ケア病棟入院料について触れた。特に、中小規模の一般病棟入院基本料を算定している病院にとっては、この地域包括ケア病棟入院料の届出等も含め、急性期病院としての枠に入るか否かは将来に向けての大きな岐路になっているはずである。

しかしながら、この地域包括ケア病棟入院料は容易に算定できるものでもないようである。

地域との係わりというキーワードのもと、以下のように救急対応や充実したリハビリテーション、或いは連携活動が実質的に機能していなければ成立しないことになるからである。これらの条件は「移行しやすい」ものなのか、「高いハードル」になるのか・・・

  • ž  在宅療養支援病院や二次救急医療施設、救急告示等のいずれかが条件になっている
  • ž  一定の重症患者が入院している
  • ž  一定数の常勤のセラピスト等を配置している
  • ž  一定数の看護師、看護補助者の配置が加算の対象になる
  • ž  一定の在宅復帰率が求められている(療養病床等でも同様) など・・・

特に「高いハードルだな」と捉えている病院において、同入院料の算定に向けては何が必要になるのか。第一には、機能再編に対する医師を中心とした職員の理解が得られるかどうかではないか。それをクリアするとともに、人材確保のための各種の取組み、或いは地域との連携活動をしっかり実行していくための体制(人員)整備など、考えるべきことや検討すべきことは山積みではなかろうか。 

国内に最も数多く存在する200床未満規模の病院。さて、院長や事務長はどう舵取りをおこなっていくのだろうか。

株式会社麻生 病院コンサルティング事業部 
部長  柳 倫明

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1/29 中医協総会に個別改定項目が提示され、平成26年度の診療報酬改定の概略が大凡見える状況となった。

今回の中医協総会で明らかになったのは、改定項目の内容と考え方(算定基準)である。点数の変更に関しては示されていないが、文脈によりある程度の判断はつきそうだ。

病院の機能分化促進という基本方針があるだけに、病院の規模によって、今回の診療報酬改定の見方・影響の受け方は変わると思われる。

個別改定項目の案をひととおり確認した結果、見えてきたキーワードは「適正化」だ。そもそもの項目の主旨に沿った診療報酬の算定がなされるよう、基準を明確化する、どちらかというと厳格化、算定対象を絞るという考え方が多く見受けられる。

今回の「適正化」された診療報酬改定においても最も着目されるのは、7対1入院基本料の要件の厳格化、そしてその一方で「地域包括ケア病棟入院料」が新設されたことだ。

現在の基準であれば、7対1の条件をなんとかクリアできているという状態にある200~300床程度の中規模の病院が、新設された「地域包括ケア病棟入院料」を算定するかどうか、その判断に迷うところだろう。

我が国における病院経営は、病院の規模(病床数)と診療単価(診療報酬による設定)を自院の努力のみで変えることは難しく(医療制度により制限されている)、自ずと収入の上限が決まってくる。よって、我が国の病院経営ではコスト管理がとても重要なものとなる。

 「地域包括ケア病棟入院料」の看護配置基準はまだ公表されていないが、7対1病棟よりも看護師配置が少なくて済む可能性が高いと考えるのが妥当だろう。したがって、病院経営にとって重要なコスト管理(適正な固定費の継続)を考えていく上でも、「地域包括ケア病棟入院料」算定の判断はとても重要なものになるだろう。

また、その判断は、今後の地域医療における自院のポジショニングを判断することにもつながる。今一度、自院の現状分析(内部・外部ともに)を行い、将来の自院の方向性を早い段階で検討・確認することが我が国の多くの医療機関に望まれることであろう。

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 森

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 2025年モデル(医療・介護機能再編)に向けて、急性期病床の絞り込みを行う一方で、亜急性期から療養期の病床の整備を行うことが示されています。今回を含め、あと6回の診療報酬改定で点数配分や施設基準等の具体的な見直しが進められるでしょう。

  そうした事情もあり、多くの病院で病床機能の変更を検討されているかもしれません。

 例えば、回復期リハビリテーション病棟等は機能変更の有力候補かもしれませんが、下記の通り、その施設基準をクリアするにはなかなかハードルが高そうです。

 【回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し案(第270回中医協総会(1/29)時点)】

①回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟において、専従医師及び専従社会福祉士を配置した場合の評価(体制強化加算)を新設する。

②回復期リハビリテーション病棟入院料1の休日リハビリテーション提供体制加算について、休日も充実したリハビリテーションを提供する観点から、入院料に包括して評価を行う。

③回復期リハビリテーション病棟入院料1について、重症度・看護必要度の項目等の見直しを踏まえて、評価のあり方を見直す。

④患者に適したリハビリテーションを実施するため、患者の自宅等を訪問し、退院後の住環境等を踏まえた上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合の評価(入院時訪問指導加算)を新設する。

 ①②等に見られるように、有資格者の配置等の施設基準が前回の診療報酬改定時よりも引き上げられています。

 また、2025年モデルでは、急性期病院の平均在院日数を現在よりも短縮していく方向性も示されており、亜急性期・回復期機能を有する病院では、より重症度の高い患者を受け入れていく必要が出てくるかもしれません。その場合、更に手厚い医療スタッフの配置が求められるということも考えられます。 

 病床機能の変更を検討される際には、収支試算もさることながら、医療スタッフの継続的な確保に向けた仕組みづくりという点も重要ではないでしょうか。

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 次郎丸

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