平成26年度診療報酬改定を読む(9)~平均在院日数の算出基準の変更~

 過去の記事でも触れたように、「7対1入院基本料の要件の厳格化」は、今回の診療報酬改定において着目すべき点の1つである。具体的な変更点としては、「看護必要度基準の見直し」や「在宅復帰機能を持つ病棟及び介護施設へ退院する患者の割合設定」等が挙げられるが、中でも筆者が最も注視しているのは、「平均在院日数の算出基準の変更」である。

 2/12中医協総会で示された答申では、以下の変更内容が明記されている。

 ◎ 特定除外制度の見直し(※対象:7対1入院基本料及び10対1入院基本料算定施設)

入院期間が90日を超える患者を対象とし、下記二つの取扱いから病棟単位で選択する。

A.出来高算定とするが、平均在院日数の計算対象とする。

B.原則として療養病棟と同等の報酬体系とする。

 ◎ 短期滞在手術基本料3の見直し(※対象:全施設)

短期滞在手術基本料3に該当する手術、検査を入院5日目までに実施する患者については、全診療報酬を包括範囲とし、短期滞在手術基本料3を算定する。

A.短期滞在手術基本料3のみを算定した患者については平均在院日数の計算対象から除く。

B.なお、6日以降も入院している場合については、入院日から起算して平均在院日数の計算対象に含める。

※中医協総会第272回「個別改定項目について」より抜粋、要約の上記載。

 

 いずれも「A.現状の平均在院日数が長期化する(=医療機関によっては要件をクリアできなくなる)」、又は「B.平均在院日数を抑えれば、収益性が落ちる可能性がある」という選択肢から、各医療機関が選択をしなければならない、という解釈になる。

 経営的な視点で(=収入を維持することを)考えると、「A.の対応を取る中で平均在院日数の要件をクリアできる状況を作り出すこと」が望ましいと考えられる。そして、その状況を作り出すための対策は、各医療機関が抱えている問題(=長期入院の患者を受け入れざるをえない理由)により、様々である。例えば、退院調整や相談窓口は十分に機能しているか、或いは後方連携がしっかりと行われているか、といった視点で現状を把握し、対策を講じていく必要がある。また自院の入院患者の疾患構成はどうだろうか。一般的には、外科系疾患の患者よりも、内科系疾患(特に呼吸器疾患等)の患者の方が長期入院になりやすい。手術対象の外科系疾患患者を増加させることができるか、等も検討の余地があるだろう。

 そして、対応疾患の状況から「平均在院日数の要件をクリアすることが難しく、B.の対応を取らざるを得ない」場合、病棟の活用方法を見直すことも必要になってくるだろう。

 なぜなら、改定の本質は「医療機能の分化・明確化を一層進めていく」という部分にあるためだ。2016年度改定以降も、その本質に基づく施策(平均在院日数及びその他要件のさらなる厳格化等)が講じられる可能性は高い。各医療機関には、場当たり的な対応ではなく、将来的な制度設計を見据えた経営判断が求められている。

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

病院コンサルティング事業部 重枝

 

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