2024年度診療報酬改定(外来)~『特定疾患療養管理料』及び『生活習慣病管理料』に関する改定について~

2024年度診療報酬改定に関して、中央社会保険医療協議会より「令和6年度診療報酬改定の概要」(2024/3/5)が公表されています。

◆令和6年度診療報酬改定について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

今回は、外来診療に関する改定のうち、内科系診療を実施している200床未満の病院様の外来収益に比較的大きな影響を及ぼすであろう「特定疾患療養管理料」の改定に関してご紹介いたします。また、「特定疾患療養管理料」に関する改定を受け、新規算定を検討される病院様もあろうかと思われる「生活習慣病管理料」についても簡単にまとめておりますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。

 

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▼改定の主な背景

❶生活習慣病対策に係る中医協総会等において、「【高血圧】、【糖尿病】、【脂質異常】のいずれも再診患者のかなり多くに「外来管理加算」や「特定疾患療養管理料」が算定されている一方で、「地域包括診療料」、「地域包括診療加算」、「生活習慣病管理料」の算定が極めて少ない実態を考えると、かかりつけ医機能をどの診療報酬項目で評価すべきなのかを体系的に整理すべき時期に来ているのではないか。」といった意見が挙がった。

 


❷具体的な各診療報酬の算定状況としては、【高血圧】、【糖尿病】、【脂質異常】それぞれを主病とする外来患者のうち、特定疾患療養管理料を算定している患者が70~80%であり、生活習慣病管理料を算定している患者は1%であった。

 

⇒議論の結果、「特定疾患療養管理料」の対象疾患から、生活習慣病である【高血圧】、【糖尿病】、【脂質異常】を除外し、これらの疾患を有する患者の管理は「生活習慣病管理料」に一本化しておこなう方針になりました。

 

▼具体的な改定内容・ポイント

・「特定疾患療養管理料」の概要・改定内容は下表のとおりです。
 赤文字・青文字:2024年度改定箇所

改定の大きなポイントは、やはり、「対象疾患から、生活習慣病である【高血圧】、【糖尿病】、【脂質異常】が除外されたこと」です。これらの疾患を主病とする患者に対して、100床未満の病院であれば147点(上限2回/月)、200床未満の病院であれば87点(上限2回/月)を安定的に算定していた病院にとっては、外来収益に大きな影響のある改定となります。

 

・対して、一本化先の「生活習慣病管理料」の概要・改定内容は下表のとおりです。
 赤文字:2024年度改定箇所

改定の大きなポイントは、「療養計画書の様式が簡素化されること」や「算定対象患者に対しては、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理を行う要件を廃止すること」です。

従来、生活習慣病患者の管理について、「特定疾患療養管理料」を算定していた病院においては、「生活習慣病管理料」の算定へ移行することが、外来収益の落ち込みをカバーする主な方策となります。2024年度診療報酬改定においての「生活習慣病管理料」改定内容(要件緩和傾向)から、国が「生活習慣病管理料」への算定移行を促進していることも窺え、「生活習慣病管理料」の新規算定・算定数増加は医療政策の動向に則った対応であるともいえるでしょう。

 

▼補足:「生活習慣病管理料Ⅰ」と「生活習慣病管理料Ⅱ」の違い

(Ⅰ)は、注射及び病理診断の費用が管理料の点数に包括されるのに対し、(Ⅱ)は、これらの費用が出来高算定できる点が異なります。患者様個人の病状・各病院様(各医師)の外来診療のスタンス等により、「生活習慣病管理料」の(Ⅰ)(Ⅱ)のいずれを算定することが望ましいかは検討が必要な要素であると思われます。なお、両管理料ともに算定回数は1月に1回のみで、いずれかの管理料を算定後6か月間はもう一方の管理料を算定できないことから、「2か月に1回の採血検査実施時のみ(Ⅱ)を算定する」等の対応はできないことにも注意が必要です。因みに、一般的な採血・検体管理加算等を算定している病院においては、(Ⅱ)を算定する方が点数は高くなる(※)可能性が大きいです。

※管理料(Ⅰ)<管理料(Ⅱ)+採血・検体検査管理加算等

※勿論、検査内容等により異なります。

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今回は、外来診療に関する改定の情報を抜粋し、ご紹介いたしました。今後も適宜、次期診療報酬改定に係る情報をお送り申し上げます。

 

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

 

 

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