平成27年度 介護報酬改定の動向について

3年に1度の介護報酬改定の時期が目前に迫っている。

 

平成27年度介護報酬改定に向けた議論が厚生労働省や財務省の各分科会でおこなわれているが、介護サービスを提供する事業者としては、自施設・事業所の今後の経営を左右する事柄だけに、気が気でないだろう。

 

過去の介護報酬改定では平成21年度(改定率:+3.0%)、平成24年度(改定率:+1.2%)とプラス改定が続いていた。このまま来年度もプラス改定で行くかと思いきや、平成26年10月8日開催の財務省財政制度分科会で提言されたのは、各種加算を除いた、介護報酬(基本部分)の6%引き下げであった。

 

財政制度分科会が介護報酬(基本部分)のマイナス改定を提言した理由として、以下の3点を挙げている。

 

① 介護職員の処遇改善(処遇改善加算の拡充)等に向けて財源の確保が必要なため

 

② 介護サービスの収益性が一般の中小企業の水準を大幅に上回るため

 

③ 特別養護老人ホームに巨額の内部留保が存在しているため

 

 

②については、財政制度分科会資料によると、介護サービス全体では、収入に占める利益の割合(収支差率)が平成25年度実績で8%であるのに対して、一般の中小企業の平均の収支差率は2.2%となっている。

 

また、③については、特別養護老人ホーム1施設あたりの内部留保が3億円程度存在しているとの試算結果を公表している。

 

介護報酬の改定率については、各団体が反対を表明しているため、今後も議論が繰り広げられるものと思われるが、介護サービスを取り巻く経営環境が今まで以上に厳しくなることだけは間違いないであろう。

 

特に、特別養護老人ホームに関しては内部留保のこともあり、他の介護サービス以上の介護報酬の引き下げが想定される。大幅な増収が見込めない状況下においては、徹底した費用管理が重要となってくる。

 

例えば、包括契約(個別に契約している委託業務を1社に集約すること)による委託費の削減、照明のLED化による光熱水費の削減等が挙げられる。

 

平成27年度の介護報酬改定に向けては、介護サービス事業者の経営の真価が問われる。

 

 

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

 

病院コンサルティング事業部

次郎丸 大輔

 

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