2024年度診療報酬改定 ~『特定集中治療室管理料』等の見直し~
中央社会保険医療協議会より、2024年1月31日に2024年度診療報酬改定の「個別改定項目(その2)」が公表されました。
※個別改定項目(その2):mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00245.html
個別改定項目はいわゆる短冊と呼ばれ、「その2」では今年度改定で新設された項目や既存項目における施設基準の変更点等が明らかになっています。
具体的な点数や基準値などは「●●」として明示されていないものの、改定内容の概要を伺うことが可能となっています。
今回はその中から、『特定集中治療室管理料等の見直し』についてご紹介します。
特定集中治療室管理料(以下、ICU管理料)においては、(1)適切な集中治療を推進する(2)高度急性期の入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う という2つの観点で見直されています。
具体的な改定内容としては、主に以下3点が挙げられています。
1.「SOFAスコア」×「重症度、医療・看護必要度(以下、必要度)」
による患者評価
→これに伴い、必要度の該当基準および施設基準における該当患者割合の
基準を見直す
2.ICU管理料5・6の新設
→患者指標および専任の常勤医師の治療室内の勤務を要件としない新区分の
設立
3.重症患者対応体制強化加算の実績要件見直し
各項目の詳細については、現時点で以下のことが明らかになっています。
1.「SOFAスコア」×「必要度」による患者評価
「SOFAスコア」を新たに導入し、「必要度」と組み合わせて患者評価を行うことにより、重篤患者受入をより適切に評価することを目的としています。
SOFAスコアの導入
今年度の改定で「直近●ヵ月の間に新たに治療室に入室する患者のうち、入室日のSOFAスコア●以上の患者が●%以上であること。」という施設基準が新設されました。なお、中医協では以下の基準でシミュレーションを実施しており、同様の基準値(患者割合は10%以上が有力とされている)が設定されることが予想されます。
・ICU管理料1・2 入室日のSOFAスコアが5点以上の患者割合が●%以上
・ICU管理料3・4 入室日のSOFAスコアが3点以上の患者割合が●%以上
必要度の見直し
ICU用の必要度の項目及び該当基準について以下のとおり見直し、それに伴い施設基準上の該当患者割合の基準についても見直しが行われる予定です。
・「輸液ポンプの管理」項目を削除
・必要度該当患者の要件を緩和
【現行】A得点 3点以上 【改定案】A得点 2点以上
・必要度Ⅱを用いて評価を行うことを要件化 ※必要度Ⅰの廃止
出典:診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会
(2023年8月10日)
2.ICU管理料5・6の新設
患者指標および専任の常勤医師の治療室内の勤務を要件としない区分(ICU管理料5・6)が新設されます。既存のICU管理料(ICU管理料1~4)との相違点は以下の3点です。
「保健医療機関内に勤務している専任の医師」に関する要件
■ ICU管理料1~4
・治療室に配置されている専任の医師は、宿日直を行う医師ではないこと。
・治療室勤務の医師は、当該治療室以外での勤務及び宿日直を併せて行わないこと。
■ ICU管理料5・6
・専任の医師(宿日直を行っている専任の医師を含む)が常時、保健医療機関内に勤務していること。
「SOFAスコア」に関する要件
ICU管理料5・6において、SOFAスコアに基づく患者指標は導入されない(必要度のみで評価)予定です。
【特定集中治療室遠隔支援加算】の新設(点数未定)
ICU管理料5・6において、遠隔ICUモニタリングによりICU管理料1・2の届出を行う施設(※支援側治療室における看護配置要件あり)から支援を受けることで、加算取得が可能となります。
3.重症患者対応体制強化加算の実績要件見直し
ICUにおける重症患者の対応体制確保を適切に評価するために、実績要件の見直しが行われます。
【現行】 必要度「特殊な治療法等」に該当する患者割合が15%以上
但し、6か月を超えない期間の1割未満の一時的な変動は届出不要
【改定案】必要度「特殊な治療法等」に該当する患者割合が直近●か月間で15%以上
また、上記以外にも一時的に施設基準未達となった場合の点数設定や、医療安全を更に推進する観点から【医療安全対策加算1】の届出要件化が予定されています。
以上、今回は2024年度診療報酬改定のうち「ICU管理料等の見直し」についてご紹介いたしました。今後も適宜、診療報酬改定に係る情報を提供する予定です。
※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。