医療現場における改善活動(QC活動)のご紹介 ~第2弾:医療現場での活動事例と改善風土醸成のポイント~
前回のブログでは、医療現場の改善活動のひとつであるQC活動の概要と、その際用いるQC手法の流れをご紹介しました。
今回は、医療現場でよく取り組まれる活動テーマ例とその効果や、院内で改善風土を培うにあたり重要となるポイントについてご紹介いたします。
~医療現場での活動テーマ例とその効果~
看護部(病棟):入院受け入れ業務にかかる時間の短縮
→業務工程の改善により、受け入れにかかる時間が平均で45分短縮され、職員の負担軽減・患者対応の時間拡充を実現した。
看護部(外来):患者さん目線に立った外来案内フローの確立
→外来案内フロー・ツールの見直しにより、2週間で600件超あったお問い合わせが▲20%となり、受診時に患者さん自身で回りやすい理想の外来診療体制に近づいた。
地域連携室(社会福祉士):退院支援業務の効率化
→各工程の見直しにより、退院調整で生じていた「待ち」の日数が▲9日となった。また初回面接時の説明内容見直しにより、患者満足度が向上した。
中央検査科(臨床検査技師):不良検体の削減
→検体採取~検査の運用見直しにより、複数回穿刺の発生率が0%となり、患者の身体的負担も軽減した。
中央放射線科:レントゲン再撮影の削減
→再撮影割合について、撮影側―読影側の認識齟齬の解消や、撮影側への教育徹底により、34%削減した。加えて、患者さんへの被ばくの低減・拘束時間の短縮や、再撮影コストの削減に繋がった。
リハビリテーション科:リハビリテーション介入時間の確保・拡大
→業務のムリ・ムラ・ムダの洗い出しと改善により、1日当たり400分相当の業務の効率化に成功。当該時間にリハビリテーションを提供すると仮定した場合、年間1,500万円の増収が叶う見込み。
上述の通り、多職種が働く医療現場においても、様々な部門で多くの改善が進められています。ここで大事なのは、日々多忙に業務行する中でも自身の業務を「改善できる部分はないか」と客観視する眼を養い、実際に現場職員が改善に向けた動きを主体的にとれることだと感じています。
ここまで、QC活動の主体であるサークルの動きを中心に、QC手法や活動事例をご紹介してまいりました。各年の活動実施は、このサークルが中心となっています。加えて、「改善風土の醸成」や「将来的な院内への活動定着」にあたって重要となる2つのポイントについて、ご説明します。
■ポイント1:「推進委員」の配置
QCQC活動を毎年円滑に実施するにあたっては、サークルからの連絡窓口や発表大会を含むスケジュール調整等を担う事務局的役割や、サークルが困りごとに直面した際に助言を行う役割を担う「推進委員」の配置が必須です。当該役割を担う部署を設置することでQCの手法やツールの使い方、助言のコツといったノウハウを院内へ蓄積することが可能となり、これに呼応してサークル側の活動の質もより高いものとなっていきます。
■ポイント2:「経営幹部」のご理解・ご協力
本来QC活動とは、現場職員(サークル)主体で行われるボトムアップ型の改善活動ですが、現状取組が全く行われていない病院で急にボトムアップ型改善を期待することは、やや現実的ではありません。初めての取組の際には、まずは経営幹部が「当院でQC活動を推進する」と方針を明確に院内へ打ち出し、また各サークルの取組に目を向けきちんと評価を行うことが、何より重要となってまいります。これが将来的に当活動を「やってあたりまえ」にする第一歩となり、複数年継続的に活動を推進することで、やがて改善風土が醸成されます。
以上、第2弾のブログでは医療現場での活動テーマ例とその効果や、院内で改善風土を培うにあたり重要となるポイントについてご紹介しました。
次回第3弾では、実際に当社が初めてQC活動へ取り組まれる病院様へ導入ご支援させていただく際の、サービスイメージについてご紹介いたします。
※上記は筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。