看護職員処遇改善評価料(ご支援先医療機関様からの声)
前回は、「看護職員処遇改善評価料(以降、評価料)」の概要についてご説明させて頂きました。今回は、我々のご支援先医療機関様等から寄せられたご相談と筆者の見解について簡単ではありますが、記載していきたいと思います。
■評価料の対象は看護職員等とあるが、どの範囲まで適用されるのか。
A:看護職員だけでなく、薬剤師以外の看護補助者や理学療法士等のコメディカルに対しても「各医療機関の判断」で賃金改善に充てることが可能です。なお、我々のご支援先病院様において、対応は以下のパターンに大きく分かれています。
①看護職員(保健師・助産師・看護師及び准看護師)のみが対象
→新型コロナウイルス感染症(以降、コロナ)に対応する医療機関において勤務する看護職員等の賃金改善を目的としていますが、コメディカルの各職種もコロナ対応に関与しているため不公平感があるとの意見があります。しかし、病院の経営状況や、対象職種の線引きの難しさ、看護職員の賃金改善が目的の医療政策という観点を踏まえるとやむを得ない対応とも思われます。
②医師・事務職員を除くコメディカル及び薬剤師に対して支給
→病院負担が一部発生するものの、職員のモチベーション向上のために実施されている医療機関が多い状況です。物価高等の影響もあり、政府も賃上げへの協力を民間に求めているため、世論に則った動きにもなっています。
(その他)算定しない
→従来から給与水準が高い病院では、短期間での規則改正など事務手続きの煩雑さも踏まえて算定自体を見送る病院もあります。この場合、職員から賃金向上の機会損失による不満の声が上がる可能性もあるため、納得のいく説明も同時に実施する必要があると考えます。
■看護職員以外の職種については、どのように計算するのか。
A:本評価料による、【全体の賃金改善見込み額】―【看護職員等の賃金改善見込額】=【賃金改善見込み額】が看護職員以外の職種の財源となり、そのうちベア等による引上げが看護職員同様に2/3以上の割合になる必要があります。そのため、看護職員等と同額のベースアップとすると評価料のみで対応できず、病院の金銭的負担が発生する点には注意が必要です。
■ベア等による賃金改善額に、賃金改善に伴い増加する賞与、時間外勤務手当、法定福利費等は含めることができるのか。
A:基本給等の引き上げにより増加した分を「賃金改善実績額に含める」ことを認めていますが、ベア等には含めることができないとされています。
■年間を通して改善実績を提出するため、賃金改善月の前に算定開始を行ってもよいのか。
A:賃金改善は「評価料の算定開示月から実施する」必要があります。また、改善額等に関して労使交渉も推奨されているため、実際に算定ができるのは交渉完了後の翌月からとなります。
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