令和4年度 診療報酬改定に係る経過措置まとめ~第3弾:回復期~

前回の第2弾では、診療報酬改定に係る経過措置(20229月末まで)から急性期に関する項目についてご紹介しました。

今回は引き続いて、回復期の項目についてご紹介します。

 

■回復期関連項目について

【地域包括ケア病棟入院料】

地域包括ケア病棟の「在宅医療のサブアキュート」としての役割がより明確に求められるようになり、今年度改定では厳格化された箇所が多くなっています。
「在宅から受入れ、在宅へ帰す」という入退院経路構築に向け、地域のかかりつけ医や介護施設等との連携が今まで以上に重要となります。

 

~在宅復帰率~

<対象:入院料(入院医療管理料)全て>

今年度は以下の通り、基準の厳格化・新設が行われました。

  •   入院料(入院医療管理料)1270%以上→5%以上〔変更〕
  •   入院料(入院医療管理料)3・4:70%以上〔新設〕

入院料(入院医療管理料)34については、在宅復帰率のみ要件を満たさない場合の減算規定(100分の90)が新設されています。

 

~自院一般病棟からの転棟患者割合~

<対象:入院料(入院医療管理料)24かつ許可病床数200床以上>

自院一般病棟からの転棟患者割合6割未満」の基準を満たさない場合、
100分の85に減算されます。

今年度改定により、対象病院が400床以上→200床以上に拡大され(※)、
減算割合も100分の90100分の85に厳格化されています。

※入院料24400床未満が対象ですが、20203月末時点の届出病院は
400床以上であっても届出病棟を維持できるとされています。

 

~自宅等からの入院患者割合・在宅医療等の実績~

<対象:入院料(入院医療管理料)全て>

  •   入院料(入院医療管理料)13:下表()()
  •   入院料(入院医療管理料)24:下表()()()①~⑥のうち1つ以上

基準(1)は15%→20%(6人以上→8人以上)に、

基準(2)は6人以上→9人以上に引き上げられています(表内下線部分)。

 

~A246入退院支援加算1の届出~

<対象:入院料(入院医療管理料)12かつ許可病床数100床以上>

A246入退院支援加算1の届出が行われていない場合の減算規定(100分の90)が新設されています。また入退院支援加算1の基準自体も一部引き上げられており注意が必要です(本コラム第2弾にて記載)。

 

~療養病床で地域包括ケア病棟入院料を算定する場合~

<対象:入院料(入院医療管理料)全て>

療養病棟で入院料(入院医療管理料)を算定している場合、「自宅等からの入院割合6割以上」の基準が未達の際に、100分の95に減算となります。

 

 

【回復期リハビリテーション病棟入院料、各種リハビリテーション料】

実績指数30が基準であった入院料5の削除や重症患者割合の基準引き上げ、標準期間を超えるリハビリのFIM測定要件化等、「入院によるリハビリの必要性・実効性」が明確に問われる形となりました。

地域包括ケア病棟と同様に、地域医療機関や自院他病棟との密な連携が必要です。

 

~重症患者割合~

回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準である重症患者割合が下記の通り引き上げられました。

  •   入院料1230%以上→40%以上〔変更〕
  •   入院料3420%以上→30%以上〔変更〕

 

~リハビリ標準的算定日数を超える場合のFIM測定~

下記リハビリテーション料算定に当たり、標準的算定日数を超えてリハビリを行う場合は機能的自立度評価法(FIM)を1回以上測定することが要件化されました。

  •   H000 心大血管疾患リハビリテーション料
  •   H001 脳血管疾患等リハビリテーション料
  •   H001-2 廃用症候群リハビリテーション料
  •   H002 運動器リハビリテーション料
  •   H003 呼吸器リハビリテーション料

経過措置により、20229月末まではFIMの測定が猶予されています。

 

回復期の改定項目については、特に自宅等からの入院率・在宅復帰率(地域包括ケア病棟)や重症患者割合(回復期リハビリ病棟)の達成で苦労されている病院も多いようです。

現在、我々のご支援する病院でも、医師と具体的な患者数で基準達成に向けた共通認識を持ち、また病棟職員と医事課職員で定期的な実績チェックを行うなど、医療スタッフと事務部間での情報共有を行って基準達成に取り組んでいます。

 

20229月末までの経過措置に関するコラムは、次回第4弾が最終回となります。

4弾では、療養・在宅の項目をピックアップしてご紹介いたします。

引き続きのご高覧をお願い致します。

 

※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを
  申し添えます。

                    病院コンサルティング事業部 水場

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