令和4年度 診療報酬改定に係る経過措置まとめ  ~第1弾:全体関連項目編 「重症度、医療・看護必要度」について~

 令和4年度診療報酬改定が施行され、早5か月が経過しました。

弊社としても、顧客先病院様より改定対応に係るご相談を頂くことは多く、その際自社経営の飯塚病院における対応状況や厚労省公開の疑義解釈等、適宜、情報提供をさせていただいております。

 

 今年度改定における改定率は、診療報酬部分が+0.43%・薬価等が▲1.35%・全体で▲0.94%であり、平成28年度以降「診療報酬プラス、薬価等マイナス、全体でマイナス」の傾向が続いています。

 

 今年度改定においては、新型コロナウイルス感染症拡大において医療機関が果たした役割等を踏まえた上で、更なる機能分化・連携強化に向けた複数の見直しが行われました。

改定対応にあたり、経過措置を活用し、施設基準を将来的に満たすことを見越して届出された病院様もあるかと思います。

経過措置の約半数が期限を迎える9月に差し掛かった今、今年度改定内容を一部振り返ると共に、各種経過措置について確認します。

なお今回のコラムでは第1弾として、高度急性期~回復期等の複数入院料に関連する全体共通項目である、「重症度、医療・看護必要度」をピックアップします。

 

■全体共通項目 「重症度、医療・看護必要度」について

評価項目の変更
 A項目の内容について、以下3点の見直しが行われました。

  ✓「心電図モニターの管理」    ⇒削除
  ✓「点滴ライン同時3本以上の管理」⇒「注射薬剤3種類以上の管理」へ変更
  ✓「輸血や血液製剤の管理」    ⇒評価点を1点→2点へ変更

 

割合の見直し
 評価項目の変更を踏まえ、各入院料における必要度評価割合の施設基準が
 見直されています。

【急性期一般入院料と重症度、医療・看護必要度】

 なお以下の入院料(2022年3月末時点で届出を行っているもの)については、2022年9月末までは重症度、医療・看護必要度を満たすものとする経過措置が設けられています。経過措置解除後を見据え、引き続き病診連携強化による集患等、医療・看護必要度の達成への取組が重要となります。

 

 ~2022年9月末までの経過措置対象入院料・加算~
 ・A100  急性期一般入院料1~5
 ・A102  結核病棟/7対1入院基本料
 ・A104  特定機能病院/一般病棟/7対1入院基本料
 ・A104  特定機能病院入院基本料/看護必要度加算1~3
 ・A105  専門病院/7対1入院基本料
 ・A105  専門病院入院基本料/看護必要度加算1~3
 ・A200  総合入院体制加算
 ・A207-3 急性期看護補助体制加算
 ・A207-4 看護職員夜間配置加算
 ・A214  看護補助加算1
 ・A300  救命救急入院料2・4
 ・A301  特定集中治療室管理料
 ・A308-3 地域包括ケア病棟入院料
 ・A317  特定機能病棟入院料「注7」
      (地域包括ケア入院医療管理料を行う病室) 

 

必要度評価Ⅱへの移行
 重症度、医療・看護必要度の評価方法は、Ⅰ:従来の看護師による測定方法と、Ⅱ:診療実績データを用いた方法の2種類です。今年度改定では、許可病床200床以上の医療機関で急性期一般入院料1を届け出る場合は原則、重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いて評価することとなりました。

 これに対する経過措置として、許可病床200床以上400床未満の病院については、2022年12月末までは当該基準を満たすものとされています。なお評価方法を変更する場合は、変更後の評価方法による直近3月の実績を届出様式に記載する必要があり、経過措置期間を念頭に置いた実績取りが必要です。

 

 以上、今回は第1弾として、複数入院料に関連する共通項目として「重症度、医療・看護必要度」をピックアップさせていただきました。

 

 経過措置の期限まで残すところあと1か月を切りました。各医療機関においては、早急に各項目の施設基準や経過措置の適用状況を整理した上で、収入維持に向けた対策を検討・実行することが求められます。

次回第2弾のテーマは急性期関連項目についてです。引き続きのご高覧をお願い致します。

 

※上記は筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを
 申し添えます。
                  病院コンサルティング事業部 因

 

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