医療DX推進体制整備加算の変更点について

2025年1月29日に厚生労働省より、「医療DX推進体制整備加算」(2025年4月~9月)の見直しに関する詳細が公表されましたので、ご紹介させていただきます。

 

 

「医療DX推進体制整備加算」は、医療DXを推進する体制を評価する加算として、

2024年度診療報酬改定において新設されました。

 

マイナ保険証利用により得られる薬剤情報等を診察室等でも活用できる体制を整備するとともに、電子処方箋及び電子カルテ共有サービスの整備、マイナ保険証の利用率を要件としています。

 

2024年度診療報酬改定における医療DXに係る全体像

 

新設後もこれまで半期ごとに基準が見直されてきましたが、

今回は、全国の医療機関でのマイナ保険証利用状況・電子処方箋サービスの導入状況を基に、主に以下2点が変更されました。

 ※下図は見直し後の加算イメージ。

区分追加

 ⇒現行の3区分(マイナ保険証利用率3区分かつ電子処方箋は経過措置)から6区

  (マイナ保険証利用率3区分の引き上げ×電子処方箋の導入有無)に見直さ

  れました。

 

マイナ保険証の利用率基準

 ⇒現行のマイナ保険証利用率から+5~15%ずつ引き上げられ、当加算を算定す

  るためには最低でもマイナ保険証利用率が15%以上必要となります。

 

電子処方箋管理サービスに処方情報を登録できる体制の有無

 ⇒2025年度3月31日まで経過措置として扱われておりましたが、医療機関の導入

  状況等を考慮し、施設基準内の1項目として見直されました。

 

【医療DX推進体制整備加算 点数区分】

 

今回の改定では、電子処方箋の導入実績が厚生労働省の想定よりも低位であったため、電子処方箋サービスの整備が要件化に至ったと想定されます。

※電子処方箋の導入状況

 (電子処方箋の導入状況に関するダッシュボードより参照)

 

今後、医療機関における電子処方箋サービスの導入が進められた場合、”電子処方箋の整備”が必須項目となる可能性もあります。

 

さらに、加算1~3を算定するためには2025年4月1日までに新様式での施設基準の届出が必須であり、当システムは患者様にもメリット(処方箋情報の簡略化など)があるため、より高い診療報酬を算定するためには早期に導入を検討する必要があります。

 

また、上記の内容は2025年4月から9月までの暫定的な基準であり、2025年7月には、2025年10月以降の新たな基準が公表される予定です。

過去2回の改定ではいずれも基準が引き上げられてきたため、10月の改定でも基準引き上げが予想されます。

 

 

厚生労働省では、「医療DX令和ビジョン2030」の実現に向けて、”オンライン資格確認を用いたマイナポータルの活用”や”電子カルテの標準化”などの様々な施策を実施する想定です。

その中では、マイナポータルから、特定健診の結果や診療情報を利用者が自由に閲覧可能なシステムを構築するため、『全国医療情報プラットフォーム』を用いた実証実験も実施予定です。

「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム|厚生労働省

 

医療DXの推進に向けた取組は現在進行形で進んでおり、日々情報の刷新が行われております。

これらの状況に対応すべく、厚生労働省が示す施策の動向を随時確認し、必要な情報を各医療機関にて取捨選択しながら今後の対応方針を協議していく必要があります。

 

昨今の働き方改革への対応を見据えた場合、業務運用等の効率化は切り離せないテーマと言えます。

ハード面での整備に留まらず、ソフト面でも整備を図ることで、本当の意味での医療DXにつながっていくものと考えます。

 

最終的には自院のみならず周辺関係機関とも連携しつつ、地域住民の方に最適な医療(情報)提供体制を構築していくことが、一層重要となっていきます。

 

 

 

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

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