2024年度診療報酬改定(入院)~『回復期リハビリテーション病棟入院料』の見直し~

2024年度診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会より「個別改定項目(その1)」(2024/1/26)、「個別改定項目(その2)」(2024/1/31)、そして昨日「個別改定項目(その3)」が公表されています。

今回は『回復期リハビリテーション病棟入院料』に焦点を当て、本改定に係る主なポイントについて簡単にご紹介いたします。

 

今回の診療報酬改定では、「安心・安全で質の高い医療の推進」や「地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組」が基本方針として掲げられており、その具体的方向性の例として、『アウトカムにも着目した評価の推進』や『リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進』などが挙げられています。今回の回復期リハビリテーション病棟入院料における改定では、まさにこの辺りを重視した見直しが行われる予定です。

 

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▼『回復期リハビリテーション病棟入院料』の改定ポイント

 

【増点】

すべての区分(入院料1~5)において、40歳未満の勤務医師、事務職員等の賃上げに資する措置として1日あたり点数設定を見直す。

25日にブログ記事掲載の同様、こちらでも見直しが行われる見込みです。賃上げ対応のため、増点が期待されます。

 

【厳格化(加算の廃止)】

回復期リハビリテーション病棟入院料の体制強化加算1及び2を廃止する。

―これまで中医協で、『加算1を算定する医療機関では、そうでない医療機関と比較して平均在院日数が比較的長いこと』、また『加算2で明らかなFIM改善が認められなかったこと』等について協議されてきました。このような経緯のもと、今回の改定にてこれらの加算は廃止されることとなりました。

体制強化加算は1日につき加算1:200点、加算2:120点を上乗せするものであったため、仮に加算1を取得済みかつ40床で病床稼働率90%の病棟であれば、年間26百万円の減収影響が見込まれます。 

※引用元:中医協 総―4  5.11.10 入院(その3)より一部抜粋

 

【厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2について、専従の社会福祉士の配置を要件とする。

―従来『専任』であった当該職種の配置要件が、今回『専従』へ変更となりました。先述の通り今回廃止される体制強化加算1においても「専従の社会福祉士の配置」の要件が設けられており、当内容と併せて鑑みると、入院料1・2において、体制強化加算で求められていた体制の一部は標準的に整えておくべきものと看做され、施設基準に組み込まれたと捉えることができます。なお当変更には、経過措置が設けられています(期限未公表)。

 

【厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1について、入退院時の栄養状態の評価に GLIM 基準を用いることを要件とするとともに、回復期リハビリテーション病棟入院料2から5までにおいては、GLIM 基準を用いることが望ましいこととする。
―既存の施設基準である『全患者を対象としたリハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合計画の作成時の、管理栄養士による栄養状態の評価』の際に、『GLIM基準』を用いることが要件化されました。入院料1は『必須』、入院料2以下では『望ましい』とされています。なお当変更には、経過措置が設けられています。(期限未公表)

 

【厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1及び3については、FIMの測定に関する院内研修を行うことを要件とする。

―これまでの協議の中で、『平成28年度以降、入棟時FIMが経年で低下している傾向があること』などから、指標の測定を正確かつ再現性のあるものにするため、研修や経験の必要性を求める意見が挙がっていました(下図)。このような経緯を受け、今回『院内研修の実施』が要件化されています。研修の対象は、『FIMの測定を行う医師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士等』と定義されています。なお当変更には、経過措置が設けられています。(期限未公表)

(ご参考:前回2022年度改定においても、適切なFIM測定のため、入院料1・3において『第三者評価を受けることが望ましい』とする施設基準が設けられました。)

※引用元:中医協 総―4 5.11.10 入院(その3)より一部抜粋

 

 

【新設・厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1から5までについて、FIM を定期的に測定することを要件とする。

―当該入院料を算定するにあたっては、『定期的な日常生活機能評価又はFIMの測定を行い、その結果を診療録等に記載すること』が求められるようになりました。当該入院料の改定の基本的な考え方である『より質の高いアウトカムに基づいた回復期リハビリテーション医療』を推進する目的での改定であると言えます。

 

【新設・厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2について、地域貢献活動に参加することが望ましいこととする。

―これまで、地域における介護予防の取組を機能強化する目的で、各市町村において『地域リハビリテーション活動支援事業』が推進されてきました(下図)。当該事業においては、介護予防の取組強化の一環として、『通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等へのリハビリテーション専門職等の関与』が定義されています。令和2年時点での各市町村における当該事業の実施割合は74.2%であり、こと回復期リハビリテーション病棟を有する施設においては、『地域ケア会議への参加』や『一般介護予防事業』への協力が主に行われてきました。今回の改定を踏まえて、更なる医療機関の関与・協力が期待されていると言えます。 

※引用元:意見交換 資料-4参考-1 R 5 . 3 . 1 5

 

【新設・厳格化】

回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2について、口腔管理を行うにつき必要な体制が整備されていることを要件とする。

―当該病棟の患者のうち、入院時に『口腔内に問題あり』と評価された脳卒中患者について、退院時に『口腔機能の改善が見られた群』と『そうでなかった群』に分けて比較すると、前者ではFIMの運動項目・認知項目・合計点数・FIM効率・FIM利得が高い結果が得られました(下図)。また別の調査でも、『歯科専門職の介入による口腔管理は、口腔状態や咀嚼嚥下、栄養状態の改善を通じて、間接的にADLの改善等につながる』という類似の結果が得られており、回復期リハビリテーション患者への口腔管理の重要性が確認されています。このような調査結果を受けて、今回当該要件が設けられたと言えます。なおこの『口腔管理を行うにつき必要な体制』については、現段階では詳細が明らかとなっておらず、今後の公表が待たれます。

※引用元:中医協 総―2 5.11.17 個別事項(その10)より抜粋

 

【厳格化】

回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患に対してリハビリテーションを行っている患者については、1日6単位を超えた実施単位数の増加に伴うADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえ、運動器リハビリテーション料に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者を見直す

―以下の通り、「当該病棟入院患者のうち運動器リハビリテーション料を算定する患者」が、疾患別リハビリテーション料に係る算定単位数上限緩和対象から除外される(=運動器リハビリテーション料は上限6単位までしか算定できない)こととなりました。

 

新設

医療資源の少ない地域において、回復期リハビリテーション病棟に相当する機能を有する病室について、回復期リハビリテーション入院料の届出を病室単位で可能な区分を新設する。

―今回、6つめの区分として、『6 回復期リハビリテーション入院医療管理料』が新設されました。当該管理料の看護配置は151配置想定であり、病院の一般病棟又は療養病棟の病室単位での届出が可能となっています。(セラピストの配置数や重症患者割合等は未公表)。

なお『医療資源の少ない地域』の対象についても、今回一部見直しが行われています。

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詳細については先述列挙した通りとなりますが、今回の回復期リハビリテーション病棟入院料に係る特に大きな変更点としては、やはり『入院料1・2における施設基準の厳格化(体制強化加算廃止・社会福祉士の専従配置要件化)』、『運動器リハビリテーション料の上限6単位とする厳格化』の2つと言えるでしょう。現在入院料1・2を届出中の医療機関様におかれましては、加算廃止に伴う収益面への影響試算や体制面見直しが、また整形系の患者受入を特色とされている医療機関様におかれましては、運動器リハビリテーションの提供状況の確認・必要に応じた医療資源の投入先の適正化が、今後まず検討すべきポイントとなってまいります。

 

今回は、『回復期リハビリテーション病棟入院料』に関する2024年度診療報酬改定の動向について、ご紹介いたしました。

今後も適宜、次期診療報酬改定に係る情報をお送り申し上げます。

 

※上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。

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