令和4年度診療報酬改定に係る経過措置まとめ~第4弾:療養・在宅~
本コラム第3弾では、診療報酬改定に係る経過措置(2022年9月末まで)から回復期に関する項目についてご紹介しました。
今回は最終回として、療養・在宅の項目についてご紹介します。
■療養関連項目について
【療養病棟入院基本料】
積極的な治療・介入が難しい患者が多い療養病棟でも、今年度改定により摂食機能・嚥下機能の回復やリハビリの実効性が求められるようになっています。
~医療区分3患者への摂食機能・嚥下機能回復に必要な体制の整備~
<対象:療養病棟入院基本料1・2>
医療区分3「中心静脈注射を実施している状態」に該当する患者については、
摂食機能・嚥下機能回復に必要な体制が整備されていない場合、
入院料A~C→入院料D~Fに算定のランクが下げられることとなりました。
~軽症患者に対するFIM測定の要件化~
<対象:療養病棟入院基本料2>
入院料算定要件「注11」の低減点数で算定する場合(※)で、医療区分2かつ疾患別リハビリ実施患者に対してFIM測定を行っていない場合は以下の算定となります。
※「注11」の低減点数による算定
- ✓ 入院料D~F→入院料G~Iの100分の75に算定ランク引き下げかつ減算
- ✓(FIM測定を月1回以上行っていない場合)2単位/日以上は包括
経過措置により、2022年9月末まではFIMを測定しているものとみなされます。
①看護職員配置20対1又は看護補助者配置20対1を満たせない場合(ともに25対1以上であること)、あるいは②医療区分2・3割合50%未満の場合、100分の75に減算されます(2024年3月末まで経過措置あり)。
■在宅関連項目について
~在支病・在支診における意思決定支援に係る指針の策定~
在支病・在支診の施設基準として、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえた終末期患者への適切な意思決定支援に係る指針の策定が新設されました。2022年9月末までは経過措置により猶予されています。
指針の策定を行うとともに、指針遵守の実績を記録として残すため、意思決定に関する協議についてのカルテのテンプレート化も並行して行うことが望ましいです。
本コラム含め、計4回にわたって令和4年度診療報酬改定の経過措置(~2022年9月末まで)についてご紹介してまいりました。
特に入院医療の施設基準については、さらなる機能分化に向けて次回・次々回の診療報酬改定で、より基準が厳格化されることが予測されます。そのため、経過措置終了後も入院料等を維持するための、さらに数年後を視野に入れ、入院機能・規模の適切なあり方の検討が必要となってまいります。
適切な入院機能・規模の検討を図る上では、診療報酬制度をはじめとする医療政策や、外部環境(周辺地域における需給状況)、院内の経営資源及びその将来性等、様々な視点で調査・分析を行うことが求められます。本ホームページの「 事業計画策定支援」に、当社によるご支援の内容をご紹介しておりますので、よろしければご参照ください。
※上記は筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを
申し添えます。
病院コンサルティング事業部 水場