新公立病院改革プランの策定に関して
2015年3月に新公立病院改革ガイドライン(以下「新ガイドライン」と記載。)が関係各所に通知されてから早くも1年が経過しました。
公立病院における改革プランの策定状況はいかがでしょうか。
今回のガイドラインには、「地域医療構想を踏まえた公立病院の役割の検討」という新たな考えが含まれています。
よって、各都道府県の地域医療構想の策定状況が気になるところではありますが、どの都道府県も構想の中身の明確化にはまだ至っていないようです。
この状況からすれば、公立病院改革プランの策定はこれから進めていく、という公立病院が多いのではないでしょうか。
さて、少子高齢化、社会保障費の問題を背景にして出てきた「地域医療構想」、この変化は近年で最も大きな変化のひとつと考えられます。
地域の医療需要が「見える化」され、病床機能の分化、病床数の減少も進むと予測されます。
新ガイドラインに基づき公立病院改革プランを作る、その際に最も重要となることは何でしょうか。
それは、地域の状況を適切に理解し、公立病院の果たすべき役割(どのようなかたちで地域貢献するか)を再定義していくことだと考えられます。
特に、建替えなどのイベントを踏まえた公立病院は、現状を前提とするのではなく、将来の変化を適切に見極め、行動することが必要です。
「競争」する観点から「連携」する観点に位置を変え、統合や再編の可能性も視野に含めながら検討を進めることが必要です。
ここで伝えたいことは、公立病院が必ずしも拡大路線をとる必要はなく、むしろ地域需要に応じた建物・体制を構築していくことが公立病院としての役割(地域への貢献)を果たすということです。
今後の公立病院の位置づけは、地域への貢献を第一に考えつつも(競争思考から脱却することが必要である一方)、経営面では健全性を求められる、難しいものとなります。
しかしながら、それが公立病院に求められていることです。
近年においては、DPC制度、病床機能報告制度などにより、地域の医療需要、供給体制が少しずつ「見える化」されてきました。
加えて、平成28年度は地域医療構想の策定も本格化するものと考えられます。
これらの状況を踏まえ、今一度、自院の位置づけ、役割、そして成り立つ病院像(現実味のあるもの)を策定していくことが、政策的、地域的観点から公立病院には求められています。
※ 上記は、筆者の個人的な見解であり、会社を代表する意見ではないことを申し添えます。
病院コンサルティング事業部 森