Vol.31 診療報酬改定は医師不足の窮状改善に結びつくのか?

2010年度の診療報酬改定は10年ぶりの改定率引き上げとなり、救急、産科、小児科などを中心に「病院」に対して手厚く配分される内容になりました。しかしながら、この改定が、いま数多くの病院が直面している勤務医の負担軽減や医師不足の抜本的な改善に結びつくのでしょうか。
 一つには勤務医の処遇改善。医師の事務作業補助に対する評価などにより、作業負担軽減の面では一定の効果が期待できるところですが、我々も医師の悲鳴を聞く機会が減ってきたという実感はなく、病院側も実質的なサポートができているのか、しっかり評価していくべきでしょう。事務補助だけが負担軽減策ではなく、看護師や技術部門スタッフとの業務分担見直しも必須です。また、給与などの面において、特に公立病院においては何の評価もなく一律横並びで支給されているケースが多く、頑張っている医師からの不満の声は後を絶ちません。病院にとっては、適切な評価とそれに応じた給与体系の見直し等が着手すべき最優先課題でしょうか。
 二つ目には抜本的な医師不足の解消。行く先々の病院でまず出てくるのはこの話題です。先に、作業負担の軽減や給与等の処遇改善について触れましたが、そのことが医師不足の抜本的な解決につながるのかは疑問です。確かに、給与等の条件は職場選択の上では大きな要素となっているようですが、極端な差がないのであれば、職場選択を左右する要素はもっと他にあるように思えます。病院側としても、プラス改定を契機に医師の給与を大きく増額するなどは難しいのではないでしょうか。
 そんな中、都市部ではなく、また決して大規模でもない一般的な急性期病院の中でも、毎年多くの臨床研修医が集まる病院もあります。指導する側の医師も確保されているようです。何故医師が集まってくるのか。どうしても処遇改善に目が行きがちですが、共通しているのは、明確な方針のもとでしっかりとした教育・研修プログラムが機能していることが理由のようです。その背景には確固とした院長のリーダーシップがあることは容易に想像できます。医師不足解消に向けて何を優先していくべきなのか、中長期的な視点に基づく抜本的な対策が求められているようです。