Vol.29 職種間業務分担見直しによる業務負担の軽減について

近年、医師を取り巻く労働環境は厳しさを増しています。人手不足の中での外来診療や休日・時間外での救急医療、日々の繁雑な間接業務への対応などにより結果として、医師が長時間病院に勤務せざるを得ないという現状があります。厳しい労働環境が医師の立ち去りを招くため、病院では業務負担軽減に向けた対応を迫られることとなり、深刻な問題となっています。

 平成20年度の診療報酬改定においては、医師の業務負担軽減策として「医師事務作業補助体制加算」が新設され、平成22年度の診療報酬改定に向けても更なる協議が進められています。

 また、医師だけでなく、看護師においても業務負担が年々増しており、当社の訪問先病院の中には増加する間接業務への対応に追われ、患者さんに対して十分な看護サービスの提供が困難なケースも見受けられます。
医師や看護師が不足している二次医療圏では、現在の診療体制を維持していくのに必要な数の確保さえ困難な状況です。新規採用による業務負担の軽減が厳しい状況下においては、現行の病院職員体制を前提とした上での業務負担の軽減策として、職種間業務分担見直しなどの取組が考えられます。

  職種間業務分担見直しの改善例には、撮影検査時の患者送迎(看護師からコメディカルに移管)、看護師・看護補助者間の業務内容見直しなどがあります。実施にあたっての留意点としては、以下のものが挙げられます。
医師・看護師以外の職員でも行える業務の中から、他職種に移管しても支障がないものを抽出。
各間接業務の業務量の把握(人員、時間などの面から)。
自らが所属する部署(部門)だけでなく、病院全体の業務効率化の視点からの検討。

  このような点に主眼を置いた議論が行われれば、業務移管に際しての業務運用の見直しをスムーズに進めることが出来ます。
  しかし、実際には、業務移管先の部署からの戸惑いや反発のため、業務移管が思うように進まないというケースもあります。このような事態が生じる背景としては、部署間の壁の高さやコミュニケーション不足のため、部署間の協力体制が築かれていないことが考えられます。

  互いの実情を知った上で話し合いをすれば、業務移管は難しい場合でも「その日の業務状況によっては対応できる」という前向きな回答を業務移管先から引き出すことも可能です。そのような状況を作り出すためにも、職種間業務分担見直しの前段階として、関係する部署間で互いの業務実態について知る必要があります。
職種間業務分担見直しのような取組の継続が、各病院職員の生産性向上や更には患者満足度の向上にも繋がってきます。