Vol.24 公立病院が抱える組織運営上の問題と今後の方向性

公立病院の経営問題を題材にしたTVドラマが始まるなど、世間的にも公立病院の経営状況の悪化に関する問題がクローズアップされています。8/23付の朝日新聞では「今春までの6年間に民間譲渡されたのは少なくとも19病院、公設民営化は44病院」であることを報じています。そこでは、これらの主因は医師 不足に起因した経営状況の悪化にあるという表現が多く使われていますが、果たしてそれだけが悪化の理由なのでしょうか?

 

公立病院の経営状況が近年、著しく悪化した要因のひとつとして臨床研修医制度を背景にした医師不足(医師の偏在)があることは、紛れもない事実かもしれません。しかしながら、臨床研修医制度以前から公立病院の多くがすでに赤字傾向にあったことも事実であり、その状況を許してきた危機意識の欠如、病院経営に 対する意識のなさが最大の問題であったのではないでしょうか。病院を一事業体として位置づけ、公立病院の組織運営に着目した場合、大きな問題点と考えてい るのは以下の3点です。1つ目に首長決定が全てという自立意識に欠ける点(上が全てという体質の問題)、2つ目に意思決定~行動までに要する時間(幾重も必要な確認・決済作業、院内に意思決定者・組織が不在)、3つ目に職員の企業経営に対する危機意識の欠如です。

 

これら3つの問題点は公務員組織であるが故に避けられない問題とも捉えられ、抜本的な解決の糸口として、組織形態の見直しが考えられます。選択肢としては 「地方独立行政法人化(公務員型・非公務員型)」「指定管理者制度」などがあります。しかしながら、組織形態を変えるだけで全ての問題点が解決できるわけではありません。経営形態の変更以後、職員の経営意識、自立意識を定着化させること、院内における意思決定のスピード化を図ることにより、組織風土を変え ていくことが必要です。その認識を持った上で、地域に必要な医療提供と健全経営を実現するために、どのようなスタッフがどれだけ必要なのか、或いは優秀なスタッフ確保において現在の運営システムで充分に対応できるのか、といった点を真剣に議論いただきたいと思います。

 

公立病院の健全経営と地域医療への貢献の実現に向けて、経営形態の変更は有用な方策であると考えられますが、経営形態の変更以後に組織風土を変えるための活動を行えるかどうかが成否を分けることになるのではないでしょうか。