Vol.18 経営管理~管理会計の視点から~

一般に経営管理とは、「人(ヒト)」・「物(モノ)」・「金(カネ)」を的確に把握していくこととされています。特に経営者は、経営上の様々な意思決定を 行うために、経営状況を的確に把握しなければなりません。このような経営命題についてのマネジメントツールの一つが「管理会計」です。医療機関においても、人件費や医薬品等の購入、設備投資等は全て会計情報に変換できます。管理会計の各種の技法を用いて集計された会計情報の分析結果は、経営者の意思決定の判断材料としての役割を果たしています。

 

医療機関の第三者評価として定着してきた病院機能評価においても、第6領域『病院運営管理の合理性』の中で、財務・経営管理についての以下のような評価項目があります。   

  • 財務会計が適切に行われている
  • 予算管理が適切に行われている
  • 資金管理および投資計画が適切である
  • 経営管理が適切に行われている

これら評価項目は、医療機関の内部で様々な会計情報の集計・分析が行われ、この報告に対して経営者が経営上の意思決定を適切に行っているかどうかを判断するものであり、管理会計が有効に活用されているかを評価するものといえます。

 

ところで、医療機関における管理会計の必要条件となるものは何でしょうか。管理会計の大前提は会計情報が信頼できるものであることであり、一般的には病院 会計準則に従った適切な会計処理が行われていることであるといえます。改正病院会計準則はその総則の第1で、「病院を対象に、会計の基準を定め、病院の財 政状態及び運営状況を適正に把握し、病院の経営体質の強化、改善向上に資することを目的とする」と述べています。厚生労働省は、病院会計準則には経営上の意思決定に資する有用な会計情報を提供する役割を担っている「管理会計」としての側面が重視されていることを強調しています。

 

医療機関の経営者の方は今一度、自院の会計処理が適切なルールでなされているかの検証をされてみてはいかがでしょうか。自院は問題ないという方は、次の段階として管理会計の具体的内容も教えて欲しいと思われるかもしれません。しかしながら、実はその回答をここで出すことはできません。なぜなら管理会計自体には一定のルールがないからです。医療機関ごとに経営上の意思決定に必要なことを明確にし、原価の集計単位を決めて、会計情報を集計・分析し、この情報を基に経営者が実行計画を作成し、この計画の実現に向けてマネジメントを行うという一連の流れがあるのみです。各種の原価計算や設備投資意思決定会計は、あ くまでも管理会計の一技法という位置付けにあるものです。そういう意味においては、経営管理ツールとしての管理会計の活用の重要性もさることながら、医療 機関の経営者の方々には今以上に自院の財務諸表(会計処理)の中身を気にして頂きたいと思います。経営上の意思決定が誤った会計情報でなされることは防がねばなりません。