Vol.15 これからの健診とその動向

皆さんは、メタボリックシンドロームという言葉を一度は耳にしたことがあると思います。「メタボリックシンドローム」とは、内臓脂肪型肥満(内臓に脂肪が 蓄積した肥満)が原因となって肥満症や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすくなった状態をいい、現在治療の対象として考えられよう になってきました。

 

従来、国は昭和53年の「第一次国民健康づくり対策」から現在の「健康日本21」において健康づくりを推進してきました。その一環である健診については労 働安全衛生法に基づく事業者健診、老人保健法に基づく保険事業の市町村健診として実施され、そのなかでこれまで生活習慣病における一次予防、二次予防施策が推進されてきました。しかし「健康日本21」の中間評価(H17年9月時点)の中で糖尿病有病者数と予備群の増加、肥満の増加、野菜摂取量の不足などの ように生活習慣、食生活、健康状態の改善は見られず、逆に悪化しているという評価が出されました。

 

そこで、今後の健診は内臓脂肪型肥満に着目し、生活習慣病対策を強化・実施、或いは有病者・予備群の減少などを目的として、保険者に平成20年4月から40歳以上の被保険者全員と40歳以上の被扶養者全員に対する保健指導を義務付けるとういう政策が打ち出されました。これまでの健診・保健指導は疾病の早 期発見、早期治療が目的であったため、その内容は「要精検」や「要治療」の方々への受診勧奨と、主に「高血圧」、「高脂血症」、「糖尿病」、「肝臓病」な どの疾患を中心とした保健指導による対応でした。しかし今後は健診結果及び質問項目から生活習慣病のリスクに応じて階層化し、「情報提供」・「動機付け支援」・「積極的支援」の保健指導をおこなう方法に変化してきています。

 

このようにこれからの医療保険者が実施する健診・保健指導は「保健指導」に重点を置いたものとなり、指導を行う保健師、管理栄養士のマンパワーが必要とな ります。しかし市町村や事業所、健保組合などの実施体制だけでは増える保健指導業務に十分対応しきれないことが予想され、保険者の財政事情からすると指導 者を簡単に増員することもできない理由から、健診後の保健指導を代わりに行う民間事業者へのアウトソーシングの方向性が示されました。これは民間事業者にとってはビジネスが展開できる分野であると言われております。業務内容については、保健指導と運動指導という大枠な活動領域しか定められていないため、今 のところ不明瞭な点が多い状況ではありますが、既に様々な分野の民間事業者が参入を模索していると言われています。新しいサービス提供分野として今後も注 目されることは間違いないでしょう。